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記事: MEET FACTORY|糸染め

MEET FACTORY|糸染め

 

pop up dressの製品を製造する工場さんや職人さんにフォーカスした特集[MEET FACTORY]
第1弾はシルクタフタの糸を染めている染色工場さんです。


Introduction

色彩豊かな衣服をつくるには、生地を染める必要があります。染めといっても手法は様々ですが、「先染め」と「後染め」の2つに分類されます。
「先染め」とは、糸を染めてから生地を仕立てる手法で、「後染め」とは、生地を仕立ててから染める手法です。それぞれ一長一短ありますが、それら2つは生産量や表現内容によって使い分けされます。

ここでは「先染め」について紹介します。糸を染めて生地を仕立てるため、後染めよりも色落ちがしにくいと言われています。さらに、タテ糸とヨコ糸を染め分けて織ることができるため、シャンブレーと言われる玉虫色のような効果を生み出すこともできます。

pop up dressが使用しているシルクタフタは、まさにそのシャンブレー効果を生かした織物です。一般的に先染めは少量生産しにくいと言われています。しかし、130年もの歴史のある染色工場の技術力により、少量生産が可能となり色とりどりのシルクタフタを生み出すことができました。



繭糸、生糸、練糸。

シルクの糸には、「繭糸(けんし)」と「生糸(きいと)」と「練糸(ねりいと)」という3種類の呼び方があります。 「繭糸」はお蚕様が吐いた1本の糸で、その繭糸を複数本束ねて「生糸」にし、生糸を精錬をして「練糸」になります。 精錬については後述しますが、一般的によく知られている艶やかで肌触りの良いもの「練糸」と呼ばれるものです。「生糸」は生成り色をしており、少しざらっとした風合いをしていますが、これが絹本来の風合いです。 ちなみに、pop up dressが使用しているシルクタフタは、「練糸」を使って織られおり、シルクオーガンジーは「生糸」で織られているため、2つの絹繊維の風合いを楽しむことができます。



綛(かせ)

綛(かせ)とは、数百~1万数千メートルの長さの一本の生糸を、ドーナツ状にまとめたものです。円周×本数で糸の全長がわかるため織物に必要な糸量を計算するに役立ちます。 さらに、綛にすることで糸が絡まりにくく扱いやすいため、染色がしやすいというメリットもあります。 染色する前に、綛に巻きなおすための工程を綛上げと言います。カタカタとリズムよく音をならせて、ゆっくりと巻いていきます。 この「綛」という漢字は日本独自の漢字だそうです。



精錬

絹繊維はセリシンとフィブロインという2つのタンパク質から成り、絹らしい艶やかな光沢を生み出すためにはセリシンを除去しなければなりません。その工程を「精錬」といい、洗剤を入れたお湯(アルカリ性)に生糸をつけてセリシンを除去します。セリシンは樹木で例えると樹皮のようなものです。その樹皮を剥がすとツルツルした幹になるように、セリシンを除去することで艶やかな絹糸になります。

 

 

生糸は天然繊維のため、季節や産地によって生成りの色味が異なります。染める色によっては生成りの色味に強く影響を受けてしまうため、濃色に染めるものは生成りが濃いものを、淡色に染めるものは純白に近いものを選んで精錬をしていきます。



調合

絹糸は、綿や麻、ポリエステルなどの糸に比べて染まりの良い素材と言われていますが、シルクは天然繊維のため、絹糸の量や質、その日の温度や湿度によって染まり具合が異なるため、熟練の職人の経験と勘によって染料を調合していきます。



染め

一昔前は、手作業で糸を染めていました。しかし、手染めは染めムラが起こりやすく、均質な染めを実現することが困難でした。産業化・工業化に伴い、噴射式染色機が導入されるようになり、均質に大量に糸を染めることができるようになりました。 今ではもっと大規模に安定的に染色できる染色機械もありますが、少量生産をする場合、この噴射式染色機が欠かせません。 130年の歴史ある染色工場さんは、手染めから始まった染色文化を引き継ぎ、今に繋いでいます。しかし、佐米染色さんがある山形県米沢市では当時50社以上あった工場が、今では2社にまで減ってしまいました。培われた技術と文化をどのように次の世代に繋いでいくか、大きな課題が残されています。



乾燥

染め上がった絹糸は、サウナルームのような部屋で一日乾燥させて色を定着させていきます。こうして、やっと生地を織る機屋さんへと絹糸が運ばれていきます。 「糸を染めることは、命を吹き込むこと」と佐米染色さんはおっしゃっていましたが、ものづくりを通して職人さんたちが築いてきた技術と文化を伝えていくことがpop up dressの責任であると感じます。